コラム

日本人の起源を考える

カテゴリー: コラム / by admin

 鹿児島に数十年ぶりに行きました。現地での講演終了後、島津義秀氏(加治木島津当主で野立ち自顕流師範、鹿児島県指定重要無形文化財薩摩琵琶道場主宰、精矛(くわしほこ)神社宮司)からいろいろと「薩摩」の過去、現在について聞かせていただきました。
 弊欄で何度もご紹介している原丈人氏(内閣府本府参与/アライアンス・フォーラム財団代表理事/デフタ・パートナーズ会長)や西村英俊氏(東アジアASEAN経済研究センターERIA事務総長)と筆者は大阪の追手門学院小学校第76期の同窓なのですが、同校の創設者は高島鞆之助陸軍中将で、薩摩の出身、即ち郷中教育を受けた西郷南洲隆盛や大久保利通の後輩にあたります郷中教育とは師が生徒を指導する当たり前のものではなくて、先輩が後輩を教えるというスタイルの教育システムを指します。
 滅びかけていた郷中教育を再興しようと奮闘されているのが島津義秀氏なのです。「①負けるな②嘘を言うな③弱い物をいじめるな」という3つの柱からなります。
 その発祥は16世紀に遡り、戦国時代の頃です。子どもたちは成人して兵士になり、殺したり殺されたりと人の命を奪うことや他人のものを盗むことに対する抵抗感が薄れてきて、心は荒廃し、モラルは低下していきました。
 そんななかで、島津日新斎という一人の武将が「この国を滅ぼさないためには、次世代を担う青少年の道徳教育が必要だ。
父母を助け、自身の健康づくりをし、一日一日を無駄にせず、学問を真剣に追求する。今、自分がこの世に在るのは先祖のおかげと自覚して、先祖を供養し、敬う。自分がされているいやな事、苦しい事、辛い事は決して他人に対してしないように」と教えたことがその礎となっています。
 因みに①の「負けるな」はもちろん「自分に負けない勇気を持て」といのはいうまでもありません。

 さて、島津家は調べると秦一族の出自と書かれています。そして島津家の家紋はあの有名な「丸に十字」。さらに島津日新斎の「されていやなことを他人にするな」、これらはすべて2000年前のスーパースター『ナザレのイエス」につながってきます。秦一族は三位一体を唱えたキリスト教徒ではないか。また家紋に見る十字架。そして、当時中東で広く知られていたバイブルの言葉。「されていやな事を他人にしてはならない」

 10月5日に出雲大社の千家国麿氏とめでたくご結婚される三笠宮典子様のご祖父、三笠宮崇仁殿下はかつて「日本は世界一の雑種の国だ。ユーラシアの東端なのだから、多くの人たちが日本列島にやってきたのだから」と語っています。世界地図を広げれば一目瞭然ですが、日本はシルクロードの終着地にあたります。まだ見ぬ遥かかなたに理想郷の存在を信じて、多くの人たちがやってきたのではないでしょうか。
 昨今DNAの解析分析技術が進歩し、残された人骨を分析することでそのミトコンドリアDNAを分析することでそのルーツを追い求めることが可能になってきました。それによると日本人の祖先はシベリアからの北方ルート、中央アジアから中国大陸を経由したルート、南方の海洋ルートの大きく分けて3つにぶ類できることが判明しています。その後も同様ルートから日本列島にさまざまな人たちが流入し、現在の日本人の原型が形作られていったと考えられます。
 私たちの日本はさまざまな文化、文明を持って、さまざまな地域からやって来た人たちが作り上げた国のようです。(2014.10.1)


認知症・予備軍あわせて860万人

カテゴリー: コラム / by admin

 テレビ、新聞でご存知の方も多いでしょうが、認知症で行方不明になっていた高齢者が7年ぶりに発見されたというニュースが大きな反響を呼んでいます。7年も分からなかったということも驚きですが、同じよう方が全国で多数おられることに最初は信じられない思いでした。厚生労働省によれば2012年時点で全国に462万人の認知症の高齢者がいると推定されていますが、これ以外にも軽度認知症と呼ばれる予備軍が約400万人いるということです。あわせると860万人ですから、日本全国で見ると、約15人に1人が認知症及びその疑いがあるということになります。皆さんの隣近所にもごく普通に認知症の方がおられるわけです。

 あきらかに問題行動があるケースは周囲も対応がしやすいのですが、軽度の場合はなかなか分かりづらいこともあります。ただ、今はだれもが発症する可能性のあるごく普通の病気になっています。昔のような先入観を持って接するのではなく、「これも病気」だという認識で接するように心したいものです。家族はもちろんですが地域社会全体で認知症に関心を持っておいてほしいものです。(2014.7.13)          


医療系国家試験まであとわずか

カテゴリー: コラム / by admin

 敬老の日の前日に発表された老年人口(満65歳以上)がついに25.0%に達しました。全人口に占める満65歳以上人口が25.0%、即ち4人に1人が65歳以上という超々高齢社会が日本に実現したのです。7%で高齢化社会、14%で高齢社会と表現する中で、25%に達したのですから、人類歴史上の快挙ともいえます。
 世界各国はいずれ自分の国でも起こり得ることと考えて、日本が今後この問題にどう対応していくかについて興味津々です。
 ではなぜ昭和22年(1947)に平均寿命が50年にも達していなかった日本がわずか60年余で平均寿命が80年を超える国になったのかを考えると、多くの国民が長寿になったからもありますが、最大の要因は「乳児死亡率」の低下があげられます。
 乳児とは生後1年未満の児のことで、乳児死亡は1歳の誕生日を迎えることなく死亡した赤ちゃんを意味します。乳児死亡率は1000×(年間の乳児死亡数)/(年間の出生数)で計算しますが、今から100年以上前、明治の世では100を超えていましたし、昭和初期でも50台で推移していました。
 筆者が学生時代に記憶させられたのが8.4でした。それが年々低下して、ついに直近では2.2になりました。乳児死亡率2.2とは出生1000に対して、1年未満の死亡が2.2.ということは1000−2.2=997.8は1年以上生存している訳ですが、換言すると10000人中9978人は一回目の誕生日を迎えることが可能なのです。すなわちほとんど乳幼児は死なないのです。
 その結果、平均寿命も影響を受けて世界有数の長寿大国となってきたのです。

 さて、来年の医療系国家試験まで数えるほどになりました。学生諸氏は高まりつつある緊張感のなかで日々健闘しています。そこで来年の国試にどのようなトピックスが取り上げられるのかを予想してみたいと思います。まず昨年6月に大きな話題となった小児の脳死判定/臓器移植があげられます。(因みにその後、追従するものが出てこないということが小児の脳死判定の困難さを示しています)これに関連して意識障害の分類やヴァイタルサイン(生命兆候)も出題される可能性があります。
 次に今年前半に話題になった風疹があります。風疹はウイルスによる感染症、「三日はしか」とも言われるぐらいのものですが、ただ一点、妊娠初期に罹患しますと胎児に奇形が生じる先天性風疹症候群が発生するのです。即ち女性にとって重要な病気なので、女子が中学生になると予防接種をしています。
 平成23年3月11日の大惨事も忘れてはならないポイントで今年の国試でも「放射性ヨウ素→甲状腺がん」という問題は看護師や鍼灸師の国試でも出題されていました。福島県を中心に甲状腺の異常が少なからず報告されていますが、マスメディアは例のごとく過小評価し嵐が過ぎるのを待っているかのようです。
 
 リオデジャネイロのIOC総会で安倍総理が「原発はコントロール下にある」と発言しましたが、直後に東電幹部は発言を否定しましたし、「東京は福島から250キロ離れている」とも述べましたが、換言すれば「東京は大丈夫だが福島は大変な状況です」となるのです。
 また忘れてはならないのは阪神淡路大震災でも一部で報道されている「アスベスト(石綿)」による中皮種です。肺を包んでいる胸膜に発生する悪性腫瘍のことで、東日本大震災では桁違いの建造物が瓦礫となりました。そして浮遊するアスベストの脅威は今も続いているのです。
 このように見ますと国家試験に出題されるポイントは現実の社会でも大きな問題として取り上げられているもので、一般の方がニュースで知っていることぐらいは医療従事者となる受験生はちゃんと知っていて当然とばかりに出題されています。


太陽の下、新しいものは何一つもない

カテゴリー: コラム / by admin

 今年も8月6日がやってきました。平成25年は昭和88年にあたりますので、もうあれから68年が経過しました。広島県内の小学生の三分の一は「8月6日午前8時15分」が何を意味するのか分からないという報道がなされていました。記憶は放っておけば必ず風化してしまいます。
 原爆と原発については3.11以来繰り返し本稿で述べてきましたが、放射性物質による放射線被曝(または被爆)の何が怖いかについて今一度触れておきます。
 地球が誕生して約35億年(らしいです)、そして人類が誕生して650万年(発見されている最古の化石から判断されているにすぎず、もっと以前に人類が地球上を闊歩していたようで、恐竜の足跡を踏みつけた人間の足跡の化石が発見されていますが「ない」ことにされています)。
 ヒトは23対46本の染色体の半分が父から、半分が母から与えられ、新たな生命として誕生します。そして男子、女子が成長すると、父、母になってまた新たな生命を誕生させて、連綿と過去、現在、未来へとつながっています。
 放射線は自然界に存在するあらゆる波のなかで、最も波長の短いもののグループに属します。紫外線、今日UV(Ultra Violet)カットでよく知られていますが、これは放射線でも一番波長の短いX線に次いで短波長であるがゆえに皮下まで到達し皮膚がんなどの原因となります。
 X線は知られているなかでは最も短波長であるがゆえに、人体を貫通してフィルムを感光するのです。この時に細胞に影響を与え時には前述の染色体、さらにそれを構成している遺伝子の配列を傷つけることでいろいろな障害を引き起こします。
 年間125万人死亡するなかで最も多い悪性新生物(いわゆるがん)による死亡が36万人。WHO(世界保健機関)はそのレポートのなかでがん死亡の10%は検査に用いられたX線が引き金になっているおそれがあると報告するほど、日本はX線使用頻度が高い、即ち必要以上に検査を実施していると警告を与えているくらいなのです。
 たった一個の受精卵のなかの核に存在する23対46の染色体が傷つくということは何万個、ヒトからヒトに伝わってきた遺伝子が変化させられる—異なる、新たな生命が誕生するといっても過言ではない事態に至る可能性があるのです。
 事故で片足(脚)を切断した人の子どもには当然左右両足がありますが、放射線の影響で片足しかなく生まれた人の子どもには何らかの障害が発生するリスクが高まります。
放射線は負の面を私たちは忘れてはならないのです。

 日韓、日中間の関係が過去になく悪化し、日朝間も北からさまざまな秋波が送られているにもかかわらず改善の兆しが見られませんし、日ロ間には北方領土問題が咽喉に刺さった小骨のごとく存在します。
 しかし、視点をちょっと変えて、昭和20年8月、4年にわたる戦争を制して掌中におさめた獲物(日本)をわずか68年で手放すはずがないとみれば、近隣諸国との関係が正常化しない背景が見えてくるのではないでしょうか。
 戦争の怖さを身にしみて知っている人たちがいる限り、人々を戦争に引き込むことは困難です。65歳以上人口が24%を超え、ますます上昇する今日、何かあると対決姿勢を示す人たちには「国際社会がプロレス」(筋書きのあるドラマ)であることが理解できないようです。そしてこのような人たちがのせられて大半の人たちが望まない不幸な事態に向かわせられたことは歴史を学べば一目瞭然なのです。

 AD3000年に古代ユダヤ民族を統一したダビデ王の息子ソロモン王の言葉を紹介します。
 「かつてあったことはこれからもおあり、かつて起こったことはこれからも起こる。太陽の下、新しいものは何一つもない」
 だから歴史を学ばねばならないのですが、為政者は愚民を望むがゆえに正しい歴史を国民に与えないのです。
 歴史を奪われた国民は未来を奪われているのです。即ち、私たちは今を知り、未来を知るために歴史を学ばなければならないのです。
(2013.8.9)


世界の政治・経済で偶然起こっているものなどない

カテゴリー: コラム / by admin

 平成25年5月11日(土)、小橋建太が幾多の名勝負が行われた日本武道館で引退記念試合を行い彼のプロレスラー人生を完結させました。力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木の三人はかつて金曜日8時の三菱電機一社提供のテレビプロレスで全国津々浦々まで今尚よく知られている存在ですが、日本のプロレスラー史上最強といわれているジャンボ鶴田、三沢光晴、橋本真也となると、その認知度は先の3人とは比較にならないほど、低いものです。
 
 それにしてもテレビの影響の大きさをあらためて教えられます。太平洋戦争で勝利した米国は徹底的に日本を分析した結果、すばらしい家族愛、世界一ともいわれる食生活等がアジアの小国をして米国に4年近くも対峙させたとの答えを出したのです。
 そこで今後支配していくことになる日本占領にあたって、日本人の精神を弱体化させるべく、3S政策(スポーツのS、スクリーンのS、セックスのS)を投入したのです。昭和28年2月NHKがテレビ放送を開始、また同年8月28日日本テレビ網が民放第一号として全国に映像を配信しようとしたのですが、何しろ「ソフト」がほとんどないのです。
 今では信じられないでしょうが、NHKがプロレスを生中継していたことがありましたし、夕方ともなればNHKはもちろん、毎日、朝日等すべての民放も大相撲を放送していたことがあったのです。そしてそこに見られたのはララミー牧場や名犬ラッシーなど米国製ドラマだったのです。
 そのころ、5月5日、国民栄誉賞を受賞した読売ジャイアンツの長嶋茂雄という戦後最大のスーパースター(阪神タイガースファンの筆者にとっては村山実や江夏豊、ランディ・バースも忘れることができない虎戦士ですが、やはり長嶋は特別な存在で「記録の王、記憶の長嶋」といわれるほど、「ええとこで必ず打つ」イメージが残っています)が颯爽と現れてきました。
 彼の登場に伴って読売巨人軍は全国区となり、テレビ中継(テレビで見られるプロ野球中継はほとんど巨人戦のみでした。阪神ファンは巨人戦以外はラジオ放送しかなかったのです)を通して爆発的な人気を獲得していきました。
 他の民放もプロ野球中継はしていましたが、日本テレビ網(大阪では読売テレビ)の独壇場だったのです。そして日本人はテレビを通してプロ野球、後にはサッカー(Jリーグ)などのスポーツ中継を楽しむようにさせられました。 
「プロレス中継の三菱電機」「プロ野球の読売新聞社」そして「3S政策の米国」とくれば何か判じ物のようですが、そこに見えてくるのは「3.11原発事故」なのです。原発建設に関与している大手重電メーカー、その原発を推進するために新聞紙面を最大限利用して原発アレルギーの日本人を原発支持者にした大手新聞、その新聞社の社主にA級戦犯であった元内務官僚のS氏をすえて文楽人形のごとく操った米国。
 
大好きなプロレス、そして鉄人といわれ、多くのファンに愛された小橋建太に何の罪もありませんが政治とはかくも私たち庶民の理解の及ばないところで綿密な計画をたててそれを粛々と遂行していくようです。
 かつて米国大統領フランクリン・ルーズベルトは「世界の政治・経済で偶然起こっているものなどほとんどない」と語っています。米国主導ともいわれるTPP、日本にとってはその推進はいかなる結果をもたらすのでしょうか。日本医師会においても「国民皆保険制度」の維持にむけて大きな関心を持つ旨を表明しています。(要は反対ということです)
 とにもかくにも小橋選手、多くの名勝負を(特に筆者の友人だったスティーブ・ウイリアムズ選手との三冠ヘビー級タイトルマッチは忘れることはできません)をありがとうございました。第二の人生でのご活躍を祈っています。(2013.5.15)


抗がん剤について考える

カテゴリー: コラム / by admin

 2月9、10、11日の3日間、第107回医師国家試験、2月17日第102回看護師国家試験と毎週のように医療系国試があり、2月24日鍼灸師、理学療法士、作業療法士、3月3日柔道整復師国試と続きます。専門医の試験で出題される医師国試に登場し、そして各種の国試へと出題されるようになるので、国試対策に携わる者としては法律の改正、保険請求できるようになった医療行為や処置などに注目しながらその年の傾向をさぐります。
 そのなかで看護師の国試に頻繁に見られるものに「抗がん剤」の取扱いについての問題があります。
 ―副作用ではありません。念のため。
 「薬液が血管外に漏れると、注射部位に壊死を生じる」。解答は(○)です。看護師国試で再三取り上げられているように抗がん剤の薬液が漏れると細胞が死んでしまうのです。それが血管の中を流れるので「がん細胞」も死んでしまうのです。ただし、同時に「正常細胞」も死んでしまうのが、ある種の抗がん剤なのです。
 
イソカテン(商品名「カンプト」、「トポテシン」)という抗がん剤の使用上の注意欄には以下のように記されています。
① 本剤は細胞毒性を有するため、調整時には手袋をすることが望ましい。
② 皮膚、眼、粘膜に薬剤が付着した場合にはただちに多量の流れで洗い流すこと
③ 薬剤が血管外に漏れると、注射部位に硬結、壊死を生じる
 さらに、「警告」欄には本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制(=造血機能障害)あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている
 と書かれています。
 また、「重大副作用」欄には「死亡」という項目が見られ、臨床試験で死亡例が全投与例1245例中、55例(4.4%)に認められる。と具体的な数字が挙げられています。
 
 読者諸氏は前記文書を読んでもイソカテンだけではなく、大半の抗がん剤も同様ですが、「がん治療」に使用したいと思うでしょうか。
 抗がん剤の「医薬品添付文書」には100を超える副作用症状が列記されていますが、かつてはこれが患者に公開されることは断じてありませんでした。インターネットで公開となった時点でも、医療関係者以外アクセスできなかったのです。
 理由はもちろん、患者が現実を知れば、そんな恐ろしい「毒物」を使用することを承認するはずがないからです。
 1990年、アメリカ議会技術評価局(OTA)がレポートを発表し、その結果、米国政府は「代替療法(三大療法以外の治療法)に比べて、三大療法は(抗がん剤、放射線、手術)は無効かつ危険」との裁定を下しました。即ち、国家によって「三大療法」への敗北宣言がなされたのです。
 しかし、世界のメディア、もちろん日本のメディアも黙殺して、ただの一字も伝えることはなかったのです。
 高度情報社会など全くの虚構であることの証といえます。
 しかし、このOTAレポート以来、世界のがん治療の潮流は明らかに変化してきました。
治療のトレンドが代替療法に向いてきたのです。結果として米国のがん死亡数は減少することになったのです。 
 4月から新しい有資格者として医療の現場で活躍する皆さん、皆さんの資格は患者さんを幸せにするために与えられたものです。どうか大切なことを忘れないで下さい。(2013.2.28)


高齢者がアマゾンを利用する理由

カテゴリー: コラム / by admin

 先日、法事で母方の実家に行く機会があった。人口数万人の地方都市で市内にはこれといった産業もない。観光地になるような名所や自然に恵まれているわけでもなく、何ともつかみどころのない町である。
 法要が終わり会食になった。田舎のこと、こんな席には遠縁の人も加わり、見知らぬ顔も並んでいる。席を並べる者同士で談笑が始まったが、何気なく耳に入った言葉に少々驚かされた。
 70歳代後半の老人の口から「アマゾン」という言葉が出てきたのだが、周囲のこれまた同じ年格好の老人もそれに反応して、アマゾンの話題で盛り上がっているのである。

 到底、アマゾンを利用するとは思えないような老人同士の会話に違和感を覚え、隣の人に事情を聞いてみた。
 「日用品や雑貨を買いたくとも近所には売っている店がない。車で少し走れば大型店もあるが、車を運転しない老人は行くことができない。結局、アマゾンなどのネット通販を利用することになる」
 かつては駅前にそれなりの規模の商店街もあり、地元資本の中小スーパーもあったが、すでに無くなって久しいものがある。シャッター商店街を通り越して店舗自体が撤去され更地や道路になってしまっている。
 JRは朝夕の高校生の通学のためだけに走っているようなもので、昼間はほとんど便がない。かつてはバス路線もあった記憶があるのだが、「そんなもの十年以上前になくなってしまった」とのこと。自治体が中心になってコミュニティバスを一部走らせてはいるが生活の足として頼るのはかなり無理があるようだ。
 公共交通はほとんど機能していないため、自分で車を運転しなければ身動きがとれないのが実態である。
 近くに子どもがいて車に乗せてもらえる高齢者はいいが、そうでない高齢者は買い物にはタクシーを使うのが普通とのこと。結局、経費を考えればアマゾンで購入した方が安くなるというわけだ。ネット通販が普及する理由のひとつもここにある。高齢化は思わぬところにも影響を及ぼしている。(2013.2.16)


他人事ではない突然死

カテゴリー: コラム / by admin

 今年も医療系国家試験のシーズンとなり、筆者も北海道、仙台、東京、名古屋、福岡、そして京阪神と1年で一番真面目に仕事をしている季節です。今年の試験のポイントの一つに、昨年大騒ぎになった「生活保護」があげられます。
 生活保護は日本の社会保障システムの四本柱のひとつで①社会保険(医療、年金、介護、雇用、労災など)②社会福祉(身体障害者、知的障害者、老人・児童・母子等に対する福祉)③公衆衛生及び医療(学校保健、労働衛生、保健サービスや医療供給)の3つです。
 生活保護は公的扶助(生活に困窮するすべての国民に対して、国が最低限度の生活を保障し、自立を助けようとする制度)を具体化したものです。
 この制度は「日本国憲法第25条」の理念に基づくもので、社会保険制度が貧困への転落を防止する「事前」的予防であるのに対して、貧困に陥ってしまった者を救済する「事後」的措置で「最後のセーフティネット」ともいわれています。
 保護には8つの扶助があり、(①医療②介護③生活④教育⑤住宅⑥出産⑦生業⑧葬祭扶助)内、医療と介護は現物給付(具体的に医療や介護を受けること)といい、他の6つは現金が給付されます。
 保護を受けている人の数が200万人を突破したという報道がされた頃に、漫才師の母親の生活保護費の給付について財務省主導で騒ぎが仕掛けられたのはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

 そしてすぐに保護費の削減がスタートします。保護を受けている世帯は①高齢者世帯②傷疾障害者世帯で全体の四分の三を占めています。費用の面から見ると、総額のほぼ半分を医療扶助が占めていて、三分の一が生活扶助、この二者で全体の80%を超えています。
 そして、保護を受けるに至る経緯のひとつに①会社の倒産やリストラ②世帯主の急病、急死やケガがあります。
 今年の国試の循環器系のヤマのひとつに「Brugada症候群」「QT延長症候群」そして「心房細動に伴う心原性脳塞栓」があげられます。国試では放置しても問題のない病気はあまり出題はされませんし、気付いても手の施しようのないものも出題されることは多くありません。
 気付けば助かるが気付かなければ死に至るかもしれない病気や症状が出題されるのは当然といえば当然なのです。BrugadaやQT延長は唯一の対応策が植込型除細動器の適用で、1分間70前後の脈が200~300になった時に元のペースに戻す装置しかいつ起こるかわからない発作が生じた時に救命できないからです。
 そして、このBrugadaは30~50際の働き盛りの男性に発生しやすい―即ち、大黒柱が倒れ残された家族が路頭に迷い「生活保護」を受けることになる一つの主要な疾患として、今一度読者諸兄に理解しておいてもらいたく、前回に続いて書かせてもらいました。
 ポイントは「30歳~50歳の男性」「家族歴に突然死や急死の人物がいること」が挙げられます。心当たりにある人は一度、専門医に相談されてはいかがでしょうか。(2013.2.15)


当たるも八卦、当たらぬも八卦

カテゴリー: コラム / by admin

「あなたのお父さんは亡くなっていないですね」
 この質問に対する答えはどうなるのか?
 「はい、私の父は一昨年に亡くなりました」
 「はい、私の父は亡くなっておらず元気です」
 どちらの答えも間違ってはいない。前者は「亡くなっていない」→亡くなってもう存在していないという意味で質問を理解している。一方、後者は「亡くなっていない」→生存しているという意味で理解している。同じ質問に対して全く別な答えが出ているのだが、どちらも間違いではない。
 
 これは占い師が使う典型的な言葉のトリックで、どちらとも捉えられる質問を投げかけながら、相談を進めていき、相手を信用させるという手法である。
 「占い師の言うことなんか信用しないよ」と笑い流す人が大半だろうが、政治評論家、経済評論家、企業経営者、政治家のいう言葉も大してそのレベルに違いはない。
 昨年、3年前、5年前の新聞の元日号を見れば、政財界のトップや著名な評論家が将来の日本の姿をそれぞれの立場、考えから語っているが、その通りになった例はあまり見かけられない。もちろん、当たっているものもあるが、今となればはなはだ見当違いの意見、見通しも多い。
 「まさに当たるも八卦、当たらぬも八卦」の世界とたいした違いはみられない。ようは誰も先のことなどわからないということである。
 閉塞感が重く漂う昨今、あらゆる政治を筆頭にあらゆる分野において強いリーダーを求める声が高まっているが、しょせん人のやることに大した違いはない。他人の考えに自らの運命を託す行為は占い師の言葉を信じて行動する愚と変わりはない。(2013.1.30)


かつて世界には本物のグローバリズムが存在した

カテゴリー: コラム / by admin

 2012年12月21日、地球は滅亡せずに新年を迎えることができました。(昨年末、話題になったマヤ歴のことです)読者の皆様、明けましておめでとうございます。
 過ぎてしまいますと、12月16日の総選挙が遠い過去のような気がすると同時に、やはり「なぜ、飯田氏が全く勝算のない選挙戦に突き進んだのか」について大きな疑問を感じるのは筆者だけではないかと思います。
 
 その総選挙直後の12月17、18、19の3日間、奈良で平城遷都1300年の記念第一回アジア・コスモポリタン賞の授与式とその関連行事に出席しました。奈良県とERIA(東アジア・アセアン経済研究センター:西村英俊事務総長)が主催したもので、筆者は春日大社、興福寺、薬師寺、唐招提寺にご案内いただきました。そしてある人物から面白い話を聞いたのです。
 「『聖徳太子』(以下、太子)という名の人物は存在しなかった。即ち、『太子』という名はその人物が死亡した後に贈られた忌み名で、生前の名前は「蘇因高」と隋で呼ばれた人物で、あの有名な「日出ずる処の天子…」で知られる太子の信書を遣隋使として隋に届けとされる日本名「小野妹子」。太子は多くの人と同時に会話が可能だったされるが、実は複数の言語を話すことができた。幼い頃『馬厨の皇子』といわれたが、私たちが知っているあの悲劇の「蘇我馬子」とも呼ばれ、太子の側近中の側近といわれた「秦河勝」という名でもあった」
 少しでも日本の歴史を学んだ人間にとっては「聖徳太子=小野妹子=蘇因高=蘇我馬子=秦河勝」という方程式など理解の範疇を超えた奇説、珍説視しか思えないほどの説を耳にしたのです。そしてその根底には太子の500年前以上に存在した地球歴史上最大のスーパースター(いうまでもなくキリスト(救世主)と呼ばれたイエス)の影が見られるというのです。
① 馬小屋で誕生したこと(馬子)②蘇我、よみがえる即ち再生③シゴの復活を恐れる連中が聖徳太子という名を贈ったことなど、その傍証だというのです。また、「秦」という文字を分解すると「三人の木」となり、三位一体を唱えたネストリウス派キリスト教であった景教のにおいがぷんぷんするとのことなのです。
 
 以上はある人物の意見(異見?)なので確認する術がないような話なのですが、非常に興味のある説でもあるともいえるのです。
 1000年以上も前の日本で西アジアと東アジアの密な交流があったことは正倉院の御物を見れば一目瞭然です。また、現在アフガニスタン周辺で見られるATLウイルス(成人Tリンパ球性白血病の原因)の遺伝子がかつて日本でも九州や四国で濃厚にみられたのも事実です。臨床から見ても南九州などに風土病的に存在する成人T細胞白血病として医学の世界では知られています。
 
 新年早々、夢のような話を紹介させてもらいましたが、まんざら「インチキ話」として片付けられない部分もあるのです。かつての日本を舞台にシルクロードを行き来しながら西アジアから東アジアへ、そして東から西への流れもきったあったはずです。
 ちなみに太子の依頼で四天王寺を建立したのが世界最古の会社組織として最近有名になっている「金剛組」という宮大工集団で同社のホームページでは「百済」から渡来したと紹介されています。
 かつて世界では今日各地で高まりつつある安物のナショナリズムではなく、地球規模の本物のグローバリズムが存在したのではないでしょうか。それが医学の面から伺えるのですから興味が尽きません。今年もよろしくお願いいたします。(2013.1.16)


(c) 社会医学環境衛生研究所 2008-