医療系国家試験まであとわずか

カテゴリー: コラム / 2013 年 11月 13 日
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 敬老の日の前日に発表された老年人口(満65歳以上)がついに25.0%に達しました。全人口に占める満65歳以上人口が25.0%、即ち4人に1人が65歳以上という超々高齢社会が日本に実現したのです。7%で高齢化社会、14%で高齢社会と表現する中で、25%に達したのですから、人類歴史上の快挙ともいえます。
 世界各国はいずれ自分の国でも起こり得ることと考えて、日本が今後この問題にどう対応していくかについて興味津々です。
 ではなぜ昭和22年(1947)に平均寿命が50年にも達していなかった日本がわずか60年余で平均寿命が80年を超える国になったのかを考えると、多くの国民が長寿になったからもありますが、最大の要因は「乳児死亡率」の低下があげられます。
 乳児とは生後1年未満の児のことで、乳児死亡は1歳の誕生日を迎えることなく死亡した赤ちゃんを意味します。乳児死亡率は1000×(年間の乳児死亡数)/(年間の出生数)で計算しますが、今から100年以上前、明治の世では100を超えていましたし、昭和初期でも50台で推移していました。
 筆者が学生時代に記憶させられたのが8.4でした。それが年々低下して、ついに直近では2.2になりました。乳児死亡率2.2とは出生1000に対して、1年未満の死亡が2.2.ということは1000−2.2=997.8は1年以上生存している訳ですが、換言すると10000人中9978人は一回目の誕生日を迎えることが可能なのです。すなわちほとんど乳幼児は死なないのです。
 その結果、平均寿命も影響を受けて世界有数の長寿大国となってきたのです。

 さて、来年の医療系国家試験まで数えるほどになりました。学生諸氏は高まりつつある緊張感のなかで日々健闘しています。そこで来年の国試にどのようなトピックスが取り上げられるのかを予想してみたいと思います。まず昨年6月に大きな話題となった小児の脳死判定/臓器移植があげられます。(因みにその後、追従するものが出てこないということが小児の脳死判定の困難さを示しています)これに関連して意識障害の分類やヴァイタルサイン(生命兆候)も出題される可能性があります。
 次に今年前半に話題になった風疹があります。風疹はウイルスによる感染症、「三日はしか」とも言われるぐらいのものですが、ただ一点、妊娠初期に罹患しますと胎児に奇形が生じる先天性風疹症候群が発生するのです。即ち女性にとって重要な病気なので、女子が中学生になると予防接種をしています。
 平成23年3月11日の大惨事も忘れてはならないポイントで今年の国試でも「放射性ヨウ素→甲状腺がん」という問題は看護師や鍼灸師の国試でも出題されていました。福島県を中心に甲状腺の異常が少なからず報告されていますが、マスメディアは例のごとく過小評価し嵐が過ぎるのを待っているかのようです。
 
 リオデジャネイロのIOC総会で安倍総理が「原発はコントロール下にある」と発言しましたが、直後に東電幹部は発言を否定しましたし、「東京は福島から250キロ離れている」とも述べましたが、換言すれば「東京は大丈夫だが福島は大変な状況です」となるのです。
 また忘れてはならないのは阪神淡路大震災でも一部で報道されている「アスベスト(石綿)」による中皮種です。肺を包んでいる胸膜に発生する悪性腫瘍のことで、東日本大震災では桁違いの建造物が瓦礫となりました。そして浮遊するアスベストの脅威は今も続いているのです。
 このように見ますと国家試験に出題されるポイントは現実の社会でも大きな問題として取り上げられているもので、一般の方がニュースで知っていることぐらいは医療従事者となる受験生はちゃんと知っていて当然とばかりに出題されています。


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