他人事ではない突然死

カテゴリー: コラム / 2013 年 2月 15 日
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 今年も医療系国家試験のシーズンとなり、筆者も北海道、仙台、東京、名古屋、福岡、そして京阪神と1年で一番真面目に仕事をしている季節です。今年の試験のポイントの一つに、昨年大騒ぎになった「生活保護」があげられます。
 生活保護は日本の社会保障システムの四本柱のひとつで①社会保険(医療、年金、介護、雇用、労災など)②社会福祉(身体障害者、知的障害者、老人・児童・母子等に対する福祉)③公衆衛生及び医療(学校保健、労働衛生、保健サービスや医療供給)の3つです。
 生活保護は公的扶助(生活に困窮するすべての国民に対して、国が最低限度の生活を保障し、自立を助けようとする制度)を具体化したものです。
 この制度は「日本国憲法第25条」の理念に基づくもので、社会保険制度が貧困への転落を防止する「事前」的予防であるのに対して、貧困に陥ってしまった者を救済する「事後」的措置で「最後のセーフティネット」ともいわれています。
 保護には8つの扶助があり、(①医療②介護③生活④教育⑤住宅⑥出産⑦生業⑧葬祭扶助)内、医療と介護は現物給付(具体的に医療や介護を受けること)といい、他の6つは現金が給付されます。
 保護を受けている人の数が200万人を突破したという報道がされた頃に、漫才師の母親の生活保護費の給付について財務省主導で騒ぎが仕掛けられたのはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

 そしてすぐに保護費の削減がスタートします。保護を受けている世帯は①高齢者世帯②傷疾障害者世帯で全体の四分の三を占めています。費用の面から見ると、総額のほぼ半分を医療扶助が占めていて、三分の一が生活扶助、この二者で全体の80%を超えています。
 そして、保護を受けるに至る経緯のひとつに①会社の倒産やリストラ②世帯主の急病、急死やケガがあります。
 今年の国試の循環器系のヤマのひとつに「Brugada症候群」「QT延長症候群」そして「心房細動に伴う心原性脳塞栓」があげられます。国試では放置しても問題のない病気はあまり出題はされませんし、気付いても手の施しようのないものも出題されることは多くありません。
 気付けば助かるが気付かなければ死に至るかもしれない病気や症状が出題されるのは当然といえば当然なのです。BrugadaやQT延長は唯一の対応策が植込型除細動器の適用で、1分間70前後の脈が200~300になった時に元のペースに戻す装置しかいつ起こるかわからない発作が生じた時に救命できないからです。
 そして、このBrugadaは30~50際の働き盛りの男性に発生しやすい―即ち、大黒柱が倒れ残された家族が路頭に迷い「生活保護」を受けることになる一つの主要な疾患として、今一度読者諸兄に理解しておいてもらいたく、前回に続いて書かせてもらいました。
 ポイントは「30歳~50歳の男性」「家族歴に突然死や急死の人物がいること」が挙げられます。心当たりにある人は一度、専門医に相談されてはいかがでしょうか。(2013.2.15)


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