著しい「制度」「ヒト」の劣化 

カテゴリー: コラム / 2012 年 12月 11 日
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 12月2日、山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落して9名が死亡しました。
 同トンネルは1977年に開通して、35年が経過しているにもかかわらず、メンテナンスが不十分であったと中日本高速道路も認めています。しかし、問題は監督する国土交通省が新規工事には熱心である一方、経年劣化に伴うメンテに対する意識があまりにも低かったことにあります。
 そして高速道路の多くは60〜70年代に作られているため、今一斉に更新期を迎えているのです。ということは同様に危険なトンネルや高速道路が全国に存在するのです。
 何より恐ろしいのはこれと同様のことが全国に50基存在する商業用原子力発電所で生じる可能性があるということなのです。さらに言えば今回の事件(とあえて言いたい)についてはその背景に「制度」や「ヒト」の劣化が隠されているということではないでしょうか。
 
いつも、振り返ってみると暗い話題ばかり提供していたような気がする2012年ですが、京都大学ips細胞研究所長の山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞受賞は本年一番の明るい話題でした。
 実は先日(12月8日)、国際ロータリー第2660地区大会が開催され、山中教授に講演していただく予定だったのですが、本人がスウェーデンで受賞式に出席されるので、かわりにビデオメッセージをいただきました。
 彼の偉業は今さらお伝えする必要はないと思いますが、彼の人間的な素晴らしさはぜひお伝えしたいと思います。映像から見る山中教授は会社組織で言うと代表取締役兼広報部長兼宴会部長のようで誰からも愛される素敵な人物でした。政界、官界に「山中伸弥」が存在すれば、日本も安泰と思わせるほどの魅力ある人物でした。
 
さて、井上雄彦(いのうえ・たけひこ)という名を知らない人物でも、「スラムダンク」という漫画でバスケットボールブームを作り、現在「バカボンド」で宮本武蔵を描いているといえばお分かりになると思いますが、その井上氏が平城遷都1300年記念アジアコスモポリタン賞の記念すべき第一回文化賞を受賞することが先日発表されました。この賞は2年に1度、東アジア域内における経済文化面での地域統合・域内格差是正、持続可能な成長社会の形成に主眼をおき、東アジア共同体形成に優れた貢献を行った個人、団体に対して、国籍を問わず贈呈される新しい国際的権威のあるものです。
 この賞を創設した国際研究機関ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)はASEAN(東南アジア諸国連合)のシンクタンクでもあり、事務総長を務める西村英俊氏は筆者の追手門学院小学部(現、小学校)の1年い組で同級だった人物です。(以前にも書きましたが、国連大使でデフタパートナーズ会長の原丈人氏も同級です)
 西村氏は経済産業省のキャリアながら、成り上がり(一般に言う天下り)役人にならず幾多の困難を乗り越えてインドネシア・ジャカルタでERIAを創設して、ASEAN10か国+日中韓印豪ニュージーランドの計16か国をマーケットにした研究機関に成長させました。
 そのERIAと奈良県で共催する受賞式やフォーラムに筆者も家内ともども招待されて出席いたします。(12月17〜18日)1年の終わりに前ASEA事務総長S.ピッスワン氏や先日亡くなったカンボジアのノロドム・シアヌーク国王の弟であるノロドム・シリブット殿下とも旧知を深めることができ、この1年が良い年で終わりそうです。(2013.12.12)


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