「ホンマもの」を見抜く力を付ける

カテゴリー: コラム / 2012 年 8月 29 日
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 先日、10歳になった娘、秀真は大阪生まれの大阪育ちにもかかわらず、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、そして東京ディズニーランドにも行ったことがありません。そんなところよりも、「ホンマもの」に触れさせたという親の考えで、アミューズメントパークに行くかわりに、筍ほりやかぼちゃ、トマトなど土まみれの自然のままを時には収穫したその場で食べさせるようにしてきました。
 この夏休みの間にも、西宮市北区の友人である栄養科学博士朝川兼行氏宅や京都府亀岡市の元市助役の中川綱彦氏宅に伺って「ホンマもの」の野菜をいただく機会に恵まれました。「ホンマもの」は時に酸っぱく、時には慣れない味だったかもしれませんが、筆者にとっては昔懐かしい味でした。
 最近は輸入や温室で栽培される野菜・果物が増えており、本来あったはずの「旬」という感覚が薄れてしまいました。皆さんも経験されたことがあるでしょうが、「旬」の食べ物は味が濃厚で、その野菜や果物が持っている「力」を摂取しているという気分にさせてくれます。味が良く、栄養価が高いだけがメリットではありません。旬になれば当然、流通量も増えていますので、価格的にも手頃なところに落ち着いています。まさに良いことづくめです。

 子どもの時から、食物本来の持つ味を知っておけば、将来大人になってからも「ホンマもの」とまがい物の区別がつくはずです。
「ホンマもの」は食物だけではありません。漢字力や語彙力もついてきた娘に、本や映画などにも触れさせるようにしつつあります。
 さる3月末にもオーストリアのザルツブルクに行ったのも、娘の大好きな映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台になった美しい街を体感させるためでした。(本音を言うと筆者にとっても初めての地で、街中から雪山が見える光景は感動物でした)
 先日も制作されて60年になるあの名画「ローマの休日」を娘に見せました。最初はあまり関心なさそうに見ていたのですが、途中から食い入るように画面を見つめ、最後の感動的なシーンでは涙を浮かべていました。

 その様子を見ながら筆者は映画ではなく、娘の反応に感動していました。まだ、見せていないのですが、娘に見せたい映画があと2本あります。ひとつは1949年に制作されたあの名画中の名画(カンヌ映画祭のグランプリを獲得し、さらにグランプリ作品中でのグランプリを取ったのです)「第三の男」、そしてもう1本は1957年のハリウッド名画「12人の怒れる男」です。前者は怪優ともいわれるオーソン。ウェルズ、後者は名優ヘンリー・フォンダという超一流が主演していますが、どちらも周りを固める役者が素晴らしい演技をしています。そして、何より脚本がすばらしい。
 「第三の男」からは世界の支配者たちが私たち一般庶民をどのように見ているのかを学べ、「怒れる12人」からは人が人を裁くにあたって、どれほどの慎重さが要求されるかを教えられます。昨今の裁判員裁判の反ヶをを見ていますと「推定無罪」の大原則が忘れ去られているのではないかと思います。
  まだまだ暑い日が続いていますが、読者の皆様、ご自愛下さい。(2012.8.29)


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